わかちあい   
韓国管区 
ソーガン(西江)大学創設50周年を迎えて


 韓国管区の使徒職は、大きく8つに分けられる。
 ①中心的使徒職であるソーガン大学。ソウルの中心部に位置し、文科系に強い大学として韓国社会での評価も高い。後に詳述する。
 ②黙想指導。2つの黙想の家で各3名がその指導に当たっている。
 ③ソウル市内で暮らす貧しい人々への奉仕。デイリー神父が、1974年にソーガン大学の教授職を辞めスラムに移り住み、都市貧民と呼ばれる貧しい人々の生活を支えてきた。彼の決断は、教会にとどまらず、一般社会にもよく広く知られている。
 ④農村部で簡素な生活を送る活動。同じデイリー神父が1995年に始め、イエズス会が貧しい人々と共にいることを証している。
 ⑤教区神学生への霊的指導。2000年から、7つの教区のうち4つでなされている。
 ⑥外国人移住者のための活動。1980年代から増え続けた外国人移住者の待遇改善のために働く活動である。2002年にはその事務所もソウル近郊に設けられた。
 ⑦キム神父による労働者のためのパブ。収支に苦労しているが恩人たちに支えられ6年間で多くの人々の魂を救ってきた。
 ⑧カンボジア・ミッション。1990年代から積極的に関わってきたが、2005年に管区となった際にローマから正式にミッションを任され、現在7名の会員が従事している。

ソーガン大学について
①大学設立のミッションとその実り
 ソーガン大学は、朝鮮戦争直後に韓国政府が経済復興・教育再興を見据え、教皇庁に直接カトリックの高等教育機関の設立を依頼し、その任をイエズス会が受け設立された。まず1954年に上智大学からゲッぺルト神父、日本で養成を受けたチン・ソンワン神父、続いてキム・テガン神父、そしてパク・コーヨン神父が派遣され、土地探しから計画を進めた。アメリカのウイスコン管区からイエズス会員が加わり1960年に開校された。以来、貧困、戦争の傷跡、その後の独裁政権など、韓国社会が抱えた問題に、キリスト教的なメッセージを伝えてきた。社会正義の側面では、神父たちは虐げられている人々のもとへ派遣され、共に生活することで社会にインパクトを与えた。人材養成の面では、カトリック的な教育理念を背景に文化の発展、経済の復興のために貢献する多くの人材を輩出することで、脚光を浴びた。信仰の面では、毎年平均で200名くらいの学生が受洗している。

②ソーガン大学における神学の位置
 ソーガン大学は文科系に強い大学として知られているが、文学部の中には哲学科、宗教学科がある。神学部の位置づけはアメリカの神学大学院制度(The Graduate School of Theology)に似ている。“神学大学院”と呼ばれる組織の中に、神学科、哲学科、社会福祉学科がある。現在学部の再編成が行われており、文学部の哲学科、宗教学科も交えて文学部から独立して神学部を設けようとする計画が進められている。現在、神学に携わる教員11名中イエズス会は7人である。

③日本管区、上智大学との関係
 ゲッぺルト神父が日本管区から派遣されたことからソーガン大学が設立されたことは意味深い。理事長含めて何名かの教員が上智大学で学んだ経歴がある。教員たちの交流が盛んになり、両校の神学部に関わる教員たちが、アジアにおける神学をどのように構築するかのシンポジウムが今年も開かれた。また、今年はソーガン大学が創設50周年を迎えるということで、両校の学生たちの交流も積極的に行われるなり、11月に「上智-ソーガン・スポーツ交流会」が開かれることになった。カトリック学生の会では、昨年ソーガン大学の学生たちと交流をし、祈り、分かち合い、食事する中で、互いの信仰とビジョンの分かち合い、新たな力を得た。

④抱える困難と将来の展望
 挙げられる困難は、社会全体の世俗化である。この波が大学にも押し寄せている。その中で、カトリック大学としての独自性をどのように打ち出すかは、難問である。学内でもさまざまな意見があるが、平和・共存・ゆるし・和解・エコロジーなどのテーマをキリスト教的価値観に基づいて取り組むことが、今の韓国社会から切実に求められている。そこに将来への希望がある。目先の利益を求めがちな社会にあって、イエスが目ざした「神の国」、正義と平和のために大局的に物事を考える人材を育てることにカトリック大学としてのアイデンティティーがある。若い人たちが、本気で考えて力を結集すれば、他にはない大きな希望を与えることができる。将来の韓国社会を、少しずつ小さなところから「神の国」へと変える力を学生たちは秘めている。そのような意味でも、イエズス会を志願する人々も含め、日本の若者と韓国の若者とが一緒に活動する場を設けることに大きな意味がある。多様な文化の中に働く神様の恵みを共有できるであろう。
 
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