わかちあい   
EAPI(東アジア司牧研究所) 
新しい福音宣教のあり方を求めて


 東アジア司牧研究所(East Asia Pastoral Institute, 通称EAPI)は現在のグローバル化した世界の中で、新しい福音宣教のあり方を探究し、現代の教会の中で働く司牧者、奉仕者の養成を担う研修施設である。
 EAPIは1967年にフィリピン、マニラのアテネオ・デ・マニラ大学のキャンパス内に設立された。設立された目的は、まず第二バチカン公会議後のアジョルナメント(現代化)の動きのなかで刷新された神学を、より多くの人々に紹介することであった。
 これまでEAPIはアジア、太平洋地域の多様な文化と複雑な社会的構造の中で生じるさまざまな司牧的な問題と向き合い、この地域にふさわしい福音宣教のあり方を模索してきた。さらに司祭、修道者、一般信徒を含めたすべての奉仕者が現代の教会において、よりふさわしく人々に仕えることができるように、彼らの霊的な養成を行ってきた。

 EAPIでは司祭、修道者、一般信徒のために、さまざまな養成プログラムが提供されている。EAPI前所長のジェヤ・ラザイヤ神父(スリランカ管区)に主なプログラムの内容と目的をうかがった。

1.司牧的刷新プログラム(Pastoral renewal program)
 このプログラムは、司祭、修道者、一般信徒の司牧理解と神学理解を刷新することを目的としている。とりわけ、多くの司祭、修道者がこのプログラムに参加し、それまでの自らのあり方を振り返りながら、司牧者としての自己理解を深めてゆく。そして、彼らは聖書や現代の新しいキリスト論、教会論、秘跡論などを学ぶことを通して、自らの神学理解を刷新し、さらに福音宣教のために必要な新しい実践的スキルを習得する。
 このコースには、長年小教区で働き、精神的に疲弊した司祭が参加することが多く、彼らはこのコースのなかで自らの福音理解、教会理解、司牧観を刷新させて、さらに霊的にも活性化し、希望をもって自らの司牧の場に戻ってゆくことができる。

2.リーダーシップ・プログラム(Effective steward leadership program)
 このプログラムでは、現代の教会の中で、どのようなタイプのリーダーシップが必要とされているのかを探究する。この数十年の間に教会のあり方は大きく変化し、司祭、修道者、一般信徒を含めたすべての奉仕者が、現代の教会のなかで、いかにしてリーダーシップを発揮することができるのかが大きな課題となっている。現代の教会におけるリーダーシップについて、新しい洞察、新しい考え方を取り入れながら、どのように人々に奉仕してゆくことが可能なのか、必要な視野と実践的スキルを学んでゆく。

 以上のプログラムは半年から一年に及ぶ長期のコースであるが、その他にも一ヶ月単位のさまざまなプログラムが提供されている。たとえば、司牧的運営のワークショップ、社会的コミュニケーション・ワークショップ、霊的指導の実践的方法を学ぶワークショップ、一般信徒の奉仕職のプログラムなどがある。

 ここで、ひとりの受講者の経験を紹介したい。ジョン・テッケヴァリアラ神父はインドのケララ州の出身で、長年、北インドのパンジャーブ地方で教区司祭として働いてきた。彼は現在、司牧研究(Pastoral studies)の分野で修士号を取るためにEAPIで勉強している。彼は、司牧的刷新プログラムとリーダーシップ・プログラムに参加したときに、深い内的変化を体験した。
 まず、司牧的刷新プログラムのなかで、現代の新しいキリスト論や教会論を学ぶことを通して、彼の教会観、信徒への態度が変わった。それまで、彼は教会を権威的なヒエラルキー構造のなかで捉えていたが、このコースを通して、教会とは本来、神の民の共同体であり、司祭とは神の民に仕える者であるということに気づいた。そこから、彼が信徒に接するときの態度も変わり、人々にひたすら奉仕することに、司祭として生きる意義を見出したのである。これは彼にとって、内的なパラダイム転換であった。
 そして、リーダーシップ・プログラムのなかで、教会や教会関係の施設を運営するための実践的な方法を学んだ。それまで彼は一切プランニングをすることなしに、教会を運営していた。以前、彼は司教から学校を建設するよう依頼されたことがあった。しかし、彼は建設事業に関する経験が一切なかったために、効果的な計画立案もなく、手探りの状態で土地を買い、建設を進めて、多くの困難に直面した。しかし、彼はこのプログラムのなかで、プランニングの方法などを学び、より体系的な教会運営の方法を学ぶことができた。

  このように、個々の受講者はEAPIのさまざまなコースに参加する中で、深い霊的な恵みをいただき、さらに福音宣教の新しい視野、実践的スキルを獲得して、司牧者として再び生き生きと歩んでゆくことができる。EAPIはその40年以上の歩みの中で、多くの人々に深い示唆を与えながら、アジア、太平洋地域における福音宣教のために多大な貢献をし、これからも奉仕することが期待される。


 
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