わかちあい   
第一勉学期 
イエズス会に入会する人は、まず、二年にわたって、修道生活の基礎的教育を受け、そのあいだに、自分が本当に神様から召されており、一生かけて神のこの招きに応えていく決意をもっていることを確認する。そして、最初の誓願をたてて修練期を終わる。しかし、それでイエズス会員としての養成が終わったというわけではなく、最終誓願まではまだ長い道程がり、それぞれの段階に応じてそれなりの仕方で養成の過程が進んでいく。
 さて、修練期に引き続く哲学期は、まず、修練期に教えられた基礎的なものを深く自分のものを深く自分のものにするもっとも重要な課題がある。というのも、入会のときにもっていた初心も、注意しなければ一時のはかない夢のように消えてしまう危険にさらされており、本当に生きたものとしての心の中に深く根を下ろしてはじめて、イエズス会員の一生を支えることのできるものとなるからである。ただし、修練期の場合と違って、今度は、このもっとも重要な仕事を勉学で忙しい生活の中で果たしていかなければならない。
 聖イグナチオがはっきり言っているように、イエズス会員が修めなければならない学問は、自分のすべての力を注ぐことを必要とする厳しいものであるが、だからといって、そのために霊的生活をおろそかにしてはならない。確かに、修練期と比べれば、祈りなどの時間は少なくなり、勉強が毎日の主な仕事となる。しかしそれは、あくまでも祈りに支えられた勉強の生活であるはずであり、すべてにおいて神を見いだし、忙しい生活の中でも神と交わる心を失わないことを学んでいくための極めて貴重な時期である。もちろん、勉強の時間を祈りのために使ってしまうことは、明らかに避けなければならない一種の誘惑であるが、ものごとを信仰の目で見て、課せられた仕事の深い意味を生かすような心で勉強することは、一生のためにもよく学んでおかなければならないことである。
 聖イグナチオについての有名な言葉の中には、「仕事で忙しい中でも観想者だった。」(etiam in actione contemplativus)というのがあるが、それは、すべてのイエズス会員に従うべき規範を示したものなのである。だが、そのためには、仕事の内容とそれに携わる心とが大切な条件である。すなわち、力をいれて一生懸命にやる仕事は、本当に神の望んでいるようなものでなければならず、しかも、まさに神の望みに応えたいという心で引き受けられたものでなければならない。そうであればこそ、何よりも神のみ旨に従って生きるのを望んでいるイエズス会員にとって、いかんる仕事も祈りに劣らず大切なものであるはずである。ところで、この時期の勉強は、その内容や場所などに関して具体的に従順に神の望んでいるものである。したがって、かれらにとって純粋な心でこの勉強に携わることは、とりもなおさずみ旨を行うことなのである。
 勉強の内容が何であれ、神のみ旨であれば、それで充分であるが、いうまでもなくイエズス会の勉学は、イエズスの使徒として人びとの救いのために働くためのものであり、まさにそのようなものとして見なさなければならない。そして、このような心でなされた勉強は、必ずしもそれ自体として優れた愛徳の業である。もちろん後で、何をいかに用いる必要があるだろうかが、確実には最初からわかっているというわけではない。聖イグナチオが教えるように、たとえ学んだことを用いる機会が後で与えられないことがあっても、人々の救いを願って正しい心でなされた勉学の使徒的意味は、決してなくならないであろう。しかし、普通、それだけではなく、学んだことをさまざまの仕方で使徒的活動のために用いることができるであろう。そして、この意味で将来の可能性は、この時期の勉強によっても準備されていくと言える。
 この観点から言えば、哲学の勉強は過去にも重要であったが、とりわけ現代のような堺の中で働こうとする人々にとっては極めて重要なものである。思想的にひどく混雑した世の中でふさわしく生き働くためには、難しい問題を正しく批判的に検討する能力を身につける必要があり、健全な世界観の根拠を哲学的によく究めることは、自分自身のためにも他人を助けるためにも非常に望ましいことである。そして、キリスト教の豊かな伝統を受継ぎ、神学を深く勉強するためにも哲学の勉強は重要な前提となる。
 特に哲学の場合、勉学の目的は、まず、内容を自分で理解することであり、聖イグナチオが勧めるように、イエズス会員は、理解したことを他人にふさわしく伝える方法をも大事にしなければならず、そのための努力を怠ってはならない。

フランシスコ・ペレス(イエズス会司祭)

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