わかちあい   
学校 
日本管区の使徒職

中等教育使徒職における働きと意味
浦 善孝
中学・高校の使徒職


 「イエズス会学校とは、イエズス会のミッションにつながっている学校をいう」。今年の六月、広島で開かれたイエズス会四校合同教職員研修会の冒頭での、四校会議長李聖一神父の言葉である。イエズス会のミッションは、イエス・キリストのミッションにつながっているので、「イエズス会学校とは何か」という常に付きまとう質問に、ようやく答えることができそうである。福音書には、イエスの行いと言葉が記されている。病人をいやし、罪人を赦し、食べものを与え、悪霊に取りつかれた人から悪霊を追い出す。ニコデモや金持ちの青年、サマリアの女、そして徴税人ザアカイのように生きることに対する真摯な問いをもってイエスに接する人々に対峙し、彼らが真実と出合うことを促す。かつて、聖イグナチオ・デ・ロヨラは、イエズス会の創立目的を「隣人の救いのために」、「霊魂の救いのために」と語っている。イエズス会学校のミッションは、これらイエスの姿とイグナチオの望みにつながっている。

授業の様子

 イグナチオは、生前すでに学校を設立し、会員を送った。若者を世話することと会のミッションは合致すると考えたからである。彼は、イエズス会学校を巣立って行く若者が将来社会によい影響を与え、また子弟を学校に送る親にもよい影響を与えることに気づいていた。昨年三十五総会が開かれ、会は現代社会において果たすべきミッションを確認した。境界線で分断された世界に和解をもたらすこと、個人の自覚と選択の自由が強調され、実用的物質主義が闊歩するなかで、孤独を感じ人生の意味を失いかけた人々が真の人間らしさを回復するように奉仕すること…。学校では、これらのミッションが福音書のイエスの姿と重ね合わせられながら、日常生活の中で織りなされ、実現していく。学力向上、生徒指導、基本的生活習慣の確立などに取り組みながら、さらに進んだ勉学やクラブ活動、そして聖書研究会や奉仕活動の指導を通して、自ら成長し成熟していこうとする生徒の望みに応えてゆく。中学・高校の六年間に、生徒たちが自分のタレントをふやすこと、そのタレントの使い方を学ぶことを期待し、自分の能力は私的所有物ではなく、よりよい社会をつくるための共有財産なのだと気づくよう促す。
 イエズス会学校は、「いかにイエズス会学校であり続けることができるか」という危機意識をいつの時代にも抱いてきた。しかし、その意識は、イエズス会と名が冠された学校として、イエス・キリストのミッションと会のミッションにいかにつながっているかという自己省察からもたらされる、健全な危機意識である。個々のイエズス会学校が、存在する時代や地域の中で、イエス・キリストの学校であり続けようとして、教育のあり方を模索し続けているからである。この緊張をはらんだ意識が、イエズス会学校のダイナミズムを生み出しているのである。イエズス会員のみならず、学校で働くすべての教職員が、この意識を共有し、一つの教職員団(faculty) として、今後も教育活動にたずさわっていくことができると確信している。数年前、ある教育専門家が、「イエズス会学校で教えることも、他の学校で教えることも同じだが、イエズス会学校の卒業生はどこか違うね」と語っていた。私たちの学校の卒業生がこのように成長するために、今日の日を捧げたい。

(うら よしたか イエズス会中等教育推進委員会委員長 泰星中学高等学校教諭)

泰星中学高等学校の先生・生徒とともに(左:浦神父)


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